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4.よりよい人生にするための20代の過ごし方

小川忠洋

20代とはどんな時期か?

人生で最も重要な2つの決断は20代でする

アリとキリギリスの童話は知っているだろう?
夏の暖かい日にキリギリスが歌を歌って楽しく過ごしている間、アリはせっせと冬の準備をしておいた。冬が来たらキリギリスは食べ物に困って、アリに助けてもらうという話。

結論から言うと、20代というのは、このアリとキリギリスを分ける年代だ。
そう。30代でも40代でも50代でもない。20代こそが、アリとキリギリスの世代になる。それについてこれから話していこうと思う。

ほとんどの人は20代は時間がたっぷりあると思っている。後からいくらでも取り返しがつくし、何とかなると。果たして本当だろうか?

実際は20代は、これから先、50~60年の人生における極めて重要なことを決断する時期だ。

これほど重大な決断をする年代はこれ以降ない。

そして、20代はこれから先の仕事、人生の基準を作る時期でもある。そういう意味では、20代ほど時間がないとも言えるかもしれない。

人生でもっとも重要な決断は2つある。

1つは結婚。誰と結婚するか?そしてもう1つが仕事選び。どんな仕事をするか?

結婚に関しては、高齢化しているので、30代、40代で決めることも多いと思っているかもしれないが、平均値は男が30.5歳、女が28.8歳だ。結婚する時期がこれなんだから、結婚を決めるまでの時間を考えると、20代のうちに決めるのが平均的ってことだ。

ちなみに芸能人は平均的な日本人じゃないので、例外として考えたほうがいい。それにしても、30代で結婚するとしても、20代のうちにかなり環境が変わると思って間違いない。
ここは後で詳しく説明する。仕事選びについては、まさにあなたが今現在、直面していることじゃないだろうか?どちらの選択もそうだが、仕事も結婚生活も、一度決めたらこれからの人生の時間のほとんど(おそらく9割以上)をそこに費やすような話である。そりゃーそうだろ。朝起きたら仕事に行って、帰ってきたら家族と居るわけで、仕事が休みの時は夫婦で一緒にいるわけだから。

仕事の底力が形成されるタイミング

しかし、そういった目に見える決断だけじゃない。20代のうちは学習能力が高いので、いろいろな影響を受け、その後に響く。

例えば、仕事のやり方なんていうのもそう。ぼくは経営者として、いろんな人の仕事を評価する立場にある。今までもいろんな人をいろんな形で雇って、その仕事ぶりを見てきた。もちろん雇ったのは20代だけじゃなく30代、40代の人も雇って仕事をしてもらってきた。

その立場から見て、正直、驚いたことがある。何かというと、それは30代の人も40代の人も、「いかに20代の時にやっていた仕事の影響を強く持っているか」ということだ。

例えば、20代の時に厳しい環境でめちゃめちゃ働いてきた人は、基本的な「がんばる力」、つまり仕事の基礎体力、基礎知力が全然違う。仕事とはこうやるべきだ、こうあるべきだ、という「仕事の基準」が違う。

うちの役員の寺本は、過去に大手システム開発会社で「ブラックじゃねーのか?それ」と思われるような仕事をしていたことがある。夜の11時から打ち合わせとか、始発で行って終電で帰る毎日とか(まぁ、これは全然、オススメではない)。

https://www.d-publishing.co.jp/people/voice/t_teramoto/
彼のインタビュー

結果的に、その仕事を続けることが肉体的にも精神的にも厳しいと判断し(そこまでしてても給料もサボってる先輩と変わらなかった)、彼は会社を辞めた。しかし、その経験が彼の「仕事の基準」を作った。体力的にしんどい仕事をしたのもそうだが、知的に難しい仕事もたくさんこなしていた。

その経験が彼の仕事の基準、基礎力を作った。一方で、彼と同じくらいの年齢でも、簡単な仕事も「やり方がわからない」とか、期限が決まってる簡単な仕事を平気で「できませんでした」とか言ってくる人間もいる。あなたもチームを運営する立場になったら感じると思うが、同じ人間が同じような仕事をしていて、どうしてここまで差が出るのか?と不思議に思うくらいだ。何が違いとなるのか?実はあなたはもう既にある程度知っている。それは20代で「資産」ができている人間とできてない人間の差だ。

そして、資産のある人間とない人間では「仕事の基準」、基礎力がまったく違うのだ(実際、そうなると市場価値も5倍や10倍の開きになる)。

そして、「資産」や「仕事の基準」は20代で基礎的なものができあがる。20代は学習能力が高いので、柔軟に基準を作りやすい。しかし、これが30代になると、もうすでに20代の時にできあがった「基準」があるので、それを変えるのはとても難しい。

20代の経験が人生の明暗を分ける

「基準」というのは簡単に言うと、「これくらいで普通だろう」と思う水準だ。20代の時に、めっちゃ頑張る人たちがいる職場で働いた人は、それが仕事の基準になる。逆に、いかにサボるかを考えているような人たちばかりの職場で働いた人は、それが仕事の基準になる。

両者とも「仕事ってこういうもんでしょ」と思っているが、中身は全然違う。世界最高のサッカーのクラブチームと地元の草サッカーチームでは、同じサッカーをやっているが、練習やプレイに対する基準が違う。

もし、「20代はまぁいいだろう」と、キリギリスのようにバイトや簡単で単調な仕事しかやってこなかった場合、30代になってからプロジェクト・ワークだとか頭を使う仕事だとかをやろうと思っても、仕事をどうやっていいのかという「基準」がわからなくなってしまうのだ。大抵の仕事やプロジェクトって、やるべきことが明確になってなかったり、想定してないいろんな問題が起きるもの。

自分の頭を使って解決策を出したり、「これを事前にやっておかなければいけないのでは?」と言われなくても考える必要がある。しかし、それまでに人から言われたことしかやっていないので、そういったことができない。

例えば、説明会を開催するとなった時に、説明会に必要なものを自分で考えて、自分で用意しなければいけない。上司から用意しろと言われたリストで十分なのかどうかも考えて、不足があれば「これが足りないんじゃないですか?」と発信しなきゃいけない。

当たり前のように思えるかもしれないが、言われたことしかやってないと、こういうことすら気を配れなくなる。言われたことしかできない人間ほど、市場価値が低いものはない。

一方で、20代のうちから自分の頭で考えて、プロジェクトを回してきた人間は、その部分の「筋力」が鍛えられているので、30代になったらそれを活かしてより仕事ができる。誰に何を指図されなくても、自らの頭で考えて仕事を実行することができる。

この20代の時の仕事が、30代、40代になってもずっと影響として残る。これは結構、恐ろしい話じゃないか。

「自分の限界」を最大限まで引き上げておこう

ぼくの知り合いで、秘書専門の人材派遣の会社を経営している友人がいる。人材派遣会社だから、めちゃめちゃたくさんの人を面接したり、仕事ぶりを見たりするわけだ。

そんな彼から聞いた話では、35歳までに大体その人の「仕事の基準」「仕事のキャパ」などが固まってしまうという。35歳以上の人に新たにそういうことを教えるのは、非常に難しいそうだ。つまり、「20代の時に120%がんばったかどうか?」が、あなたのこれから先、40年以上のキャリア形成の中で、とても重要な意味を持つのだ。というのも、30代になると自分が120%がんばりたくても、がんばれないという環境が生じてくる。それは家族の存在であり、特に子どもの存在だ。30代は大抵の人が結婚して、家族を持つことになる。

そうなると、必然的に自分一人で使える時間がかなり減る。新しいことを学習する時間、経験する時間がかなり限られてくる。なので、まだ一人の時間が十分にあるうちに、将来のためになる基礎を作っておいたほうが良いということだ。


最初の傾きの違いが後に大きな差に

わかりやすく言うと、20代でこのグラフの傾きの値が、ある程度決まってしまうということだ。ちょっとした傾きでも、時間が経つと大きな差になる。飛行機でも、最初にほんの何度かずれると、アメリカに到達するのとメキシコに到達するくらいの差が出る。それと同じこと。

20代は脳の2回目の成長期

先ほど、「20代は120%がんばるのが大切だ」という話をしたけど、 じつは科学的にもそれが実証されている。20代にがんばるのは、とても効率が良いのだ。

これは、ぼくも調べててビビったんだけど、20代は脳がもっとも柔軟に成長する時期なのだ。最近の研究でわかってきたのは、人間の脳の成長期は2回あるということ。1回目はご存知、生後18ヶ月くらいまで。

赤ちゃんのころに脳の神経細胞が強烈に成長するってのは、もちろん知ってるだろう。その後はゆっくりと一定の成長を続けると思われていたが、米国立精神衛生研究所の研究で2回目の急成長の時期があることがわかった。それが思春期から20代までだという。

2回目の成長がどんな風かというと、複雑な問題を処理する能力や論理的に考える力、将来を予測したりする力が主に急激に発展するという。つまりは大人になるってことだろうか?

10代後半やら20代前半では、まだまだ将来のことを考える力が弱い。
だから、恋人の名前のタトゥーとか入れちゃうわけだ(笑)。

冗談はさておき、20代は「脳の成長のラストスパート」ができる時期なのだ。もちろん、30代でも40代でも脳は成長する。けれど、20代の今ほど一気に急激に学習して成長させられる時期は二度と来ない。そう。残りの人生で二度とない。

だからこそ、20代の時に120%がんばった人と自分探しや単純労働でなんとなく浪費してしまった人では、その後、とてつもなく大きな差ができてしまうのだ。

あなたに残された時間

結婚して子どもや家族を持つ

では、20代でするもう一つの重要な「決断」について考えてみよう。先ほども言ったが、日本人の平均的な結婚年齢は男が30.5歳、女が28.8歳。

そして平均的に、その約1年後に初めての子どもを産む。今からこんな話は想像できないだろうけど、これはあなたの人生を一番左右する大きな出来事だ。ぶっちゃけた話、ぼく自身も自分が子どもを持つなんて、まるでイメージになかった。カフェなどで子どもを見ても、「うるせーな」くらいにしか思わなかったし、欲しいと思ったことは一度もなかった。

でも、嫁が強烈に欲しがってた。だから、「個人的にはいなくてもいーんだけどなぁー」なんて思いながらも、子どもを持つことになった。そして、人生がガラリと変わった。まるで、人生の「ステージ2」に入ったかのような感覚だった。世の中にこんなにも愛おしい存在がいるのか!と驚き、なぜだか今までは「うるせー」と思っていたよその子までが可愛く見えるようになった。ぼくは起業家としての「成功」を目指してずっと生きてきたが、子どもが生まれた途端、そんなものは大した問題じゃなく思えるようになってしまった。

ぼくに「本当の幸せ」をもたらしてくれたのは、明らかに今の子どもたちだった。それからは子どもに見られても恥ずかしくない仕事をしなければいけないと思うようになったし、子どもの将来のことも考えるようになった。すると、自然と10年後、20年後のことまで考えるようになった。


初めての子の出産に立ち会う

どこに住むのか?何をやるのか?すべてが子ども優先になる。まぁ、言葉で説明するのは難しいが、明らかに以前とは違う価値観の人生を歩んでいることだ。そして、それがとても良かったと思っている。

結婚して子どもができれば、あなたには養う家族ができる。それ自体はとても素晴らしいことなんだけど、いろいろお金がかかる。住む家一つとってもそう。今までは1人暮らしでワンルームでよかったかもしれないが、これからはそうはいかない。プラス、子どもを育てる環境を考えて、住むところを選んだりするようにもなるだろう。

ぼくは今、会社から車で40分くらいかかるところに住んでいるが、れも子どもの環境を考えて選んだ。1人暮らしだったら絶対、会社から徒歩5分圏内に住んでいる。そうすると、30歳半ばくらいにして家やマンションを買う話が出てきたりする。

子ども2人の家族4人暮らしなんかになれば、そこそこお金もかかる。ご飯を食べるのも4人分、移動するのも4人分だ。田舎に帰ろうと飛行機や新幹線に乗ると、ビビるくらい交通費がかかる(笑)。

うちの場合、子どもが3人で嫁の実家が沖縄なので、一回の帰省につき15万~20万円くらいは飛行機代だけでかかってしまう。

家族を持つまでにキャリアを確立しよう

ポイントは、その時までにそれなりのキャリアが築けていなければ、家族はとても苦労することになるということだ。20代の貴重な時間を浪費して、30代にしてフラフラしてるようなら、結婚すらできないだろう(そして結婚も出産も、歳をとればとるほど不利になる)。

独り身のうちは自分1人の時間がたっぷりある。会社が終われば、自分の時間。土日はもちろん自分の時間。でも、子どもができると、それらの時間が一切なくなる。子どもが小さいころは特にそう。1人で映画を観られた時代を懐かしく思うようになる。

だから、20代の遅れを30代で取り戻そうとしても、なかなか厳しいのが現実なんだ。なんせ、時間が確保できない。その上、脳の発展の話と重ねて考えると、どれだけ20代が有利かがわかるだろう。

どれだけの時間があるか?

あなたは自分が今、人生のスタート地点に立って、これから先、死ぬほど時間があると考えているかもしれない。でも20代の今、じつは時間はそれほどない。人生で大切な決断は、たいてい30代半ばまでには終わっているだろう。30代以降は決めたものに対して積み上げていく人のほうが大きい。

22歳で就職するとしたら、30歳まではあと8年。「8年って長いやん!」って思うかもしれないけど、キャリア形成で考えると、そんなに長くない。どんな仕事も3、4年やらないと、まず「普通」レベルにも達しない。より高い成果を出したいと思ったら、それ以上時間がかかる。

前にも説明したように、一流のレベルになりたいと思ったら、どんな分野でも1万時間の訓練、実践が必要になる。この1万時間を計算してみて欲しい。1日5時間、何かを練習したとする。5時間って結構すごい量じゃないか?それを平日は毎日やるとしよう。

平日って240日くらいなので、1年間で1200時間。つまり1万時間に達するには、毎日5時間練習しても8年はかかるってことだ。土日休日、GWも正月も休まずに10時間を追加すれば、年間2400時間になるので、1万時間まで4年間で行ける。でも、こんな殺人的なスケジュールは無理だろう。

会社でやってることがそのまま自分の極めたいキャリアの分野とかぶるのであれば、1日5時間の練習は仕事時間中にできるので、多少楽にはなる。とはいえ、会社にはいろんな種類の仕事があるので、必ずしもあなたのキャリアアップに貢献する仕事ばかりじゃない。
となると、やっぱり会社の外で結構な時間を使っても、5年以上はかかるわけだ。

たくさん学習して、一気に成長

さっきも言った通り、家族持ちにはこんな時間の使い方はできない。まず、土日祝日が一切使えないし、平日だって家族はできるだけ早く帰ってきてほしいと思って待っている。本を読んだり、学習する時間がなかなか取れないのは当然だろう。

じゃあ、30代では成長はないのかという話だが、20代のうちに時間投資をしておけば、その分野のことはすでにかなり詳しくなっているので、学習スピードが上がっているのだ。ぼくの場合、例えば本を読むにしても、経営やマーケティングの本であれば、かなり早く読むことができる(だって知ってることばっかりだから)。

つまり、どう考えても20代は、あなたのキャリア形成で超重要な時期となるってこと。
・脳が急成長する時期である・キャリアに投資する時間が十分にある。たくさん学習して、一気に成長する。そんなことができるのは今だけ。

自分のやりたいことが見つかってから、あとから一生懸命やろうなんて考えていると、気づいた時には同期とめちゃめちゃ差がついている……なんてことになりかねない。

20代にがんばっておいて、結婚する時や子どもを持つ時にはそれなりの余裕やプランがあって、自分なりのキャリアも持って、将来も明るいような状態でいるのが良いと思わないか?

最後に−

お金についての考え方

お金に関しては、まぁ一番気にあるところではあるだろう。仕事をする理由の第一は、お金を稼ぐためだと思うが、それだけにフォーカスすると人生は何とも残念なものになる。

もちろん、収入は低いよりは高いほうがいいに決まってる。でも、ぼくの経験でも、一緒に働いてきた人たちで「お金を稼ぎたい」という面が最優先になっている人は、たいてい仕事ができなかったし、問題児が多かった。

お金を稼ぎたいというのはいいことだと思う。だけど、優先順位の問題。それが1位だと困る(もしかしたらファンドマネジャーとかなら成功するのかもしれない)。

やっぱり仕事が好きだとか、自分を成長させたいというのが、お金よりも優先順位が高い人のほうが、どんどん成果を出して、結果的に高収入になっている気がする(人間、金だけのためには一生懸命努力し続けることはできないんだろう)。

人はなぜお金を欲しがるか?

なんでお金が欲しいかって根本的なことを言えば、それは「お金があれば幸せになれる」と思ってるからだろう。でも、お金と幸福感が必ずしもリンクしていないのは証明されている。

だいたい年収で1000万円くらいまでは、収入が増えれば増えるほど幸福感も増していくけど、それ以上になるとほとんど変わらなくなる。考えてみりゃ分かる。1000万円までは、お金が増えると生活が劇的に変わっていくから、幸福感も変わる。

けれど、それ以上になると大して変わらないからね。例えば2000万円と3000万円の場合、年収は1000万円も差があるけれど、ほとんど変わらない生活をしている。車を持ってない人の生活と車を持ってる人の生活は結構違うが、車を3台持ってる人と5台持ってる人の生活は、ほぼ変わらない。

それでも、なぜ誰もがもっとお金を欲しがるんだろうか?その理由は2つある。1つは虚栄心を満たすため。どれだけ金持ちになっても、隣に自分よりも金持ちがいたら、その人は貧しく感じるもの。

人間は他人との比較によって自分の位置を知る生き物だ。だから、虚栄心をくすぐるブランド物や宝飾品が高値で売れる。性能的にはほぼ同じ車が200万円と1000万円で売られている。  こういうものが欲しいと思っても、自分を卑しい人間だなんて思う必要はない。これはチンパンジーのころからインプットされてる本能だから(笑)。ただ、「自分はチンパンジーと一緒だ」とくらいは思ったほうがいい。そう考えることによって、本能に支配されずにすむ。

今、あなたは年収1000万円なったら超ハッピーだと思ってるかもしれないが、もしあなたの同期が年収2000万円だったら、ハッピーどころか負けた感じしかしない。どちらも生活水準やら幸福度合いは一緒であるにも関わらず。そう。お金は社会的シンボルなのだ。

お金との正しい向き合い方

そしてもう1つの理由が、道具としてのお金の必要性からだ。これこそがお金との正しい向き合い方だと個人的には思う。お金というものは、何かを実現するための道具としては、とてつもない力がある。

あなたが抱える問題も、世の中にある問題も、お金で解決できることは本当に多くある。慈善事業もたくさんできるし、困ってる人をたくさん救うこともできる。それにはもちろん、お金だけでなく人材や情報なども必要ではある。しかし何かを実行する時にお金の果たす役割は、あなたの想像以上にデカい。

アジアの発展途上地域に学校を作ったり、井戸を作ったり、教育を施したりする支援活動によって、日本とアジアの絆を作っている池間さんという方がいる。誰もが彼の活動に賛同する。しかし、彼が言うには「愛では何も解決しない。善意よりもお金がないと何もできない」。

志だけでは無意味
実行力をつけないと…

ボランティアで手伝うことも、逆に迷惑になることが多いそうだ。もちろん、愛がなければこんなことはできないだろうが、お金がなければ  その愛を実行することができない。愛だけでは偽善と一緒なのだ。お金は本来、何かを実現する道具だ。しかし、その魅力があまりにも強いために、社会的シンボルとしてのお金にぼくらは踊らされてしまうのだ。

ちなみに聞くところによると、コンプレックスを持っている人間ほど社会的シンボルを必要とするようだ。そういう意味では、実現したいことや解決したい問題などがない人間がいくらお金を持ったところで、何の意味もないのかもしれない。

親のライフプランはぼくらには使えないかも

60歳で定年退職して年金暮らしというライフプランは、ぼく個人的にはとても嫌だったけれど、そもそも現代では成り立たないんじゃないかと思う。

年金が減ってきて、ぼくの世代でもほとんど当てにしてないくらいで、実際、今の世代でも60歳以上でも働かないと食っていけない人が大勢いる。最近では、「老後破産」なんて言葉も聞くようになった。元々、年金の支給開始年齢の60歳ってのを設定した当時は、平均寿命が短かったって話だ。

平均寿命が延びてくると、70歳、75歳とどんどん上がっていくだろう。それに、合成生物学やバイオテクノロジーの進化で、寿命はこれから一気に伸びる可能性もある(100歳まで生きるのが普通になるかもしれない)。だから、あなたの世代では、まぁ当てにはできないだろう。  現状、ほとんどの人のキャリアプランは、60歳、あるいは65歳までは会社に頼り、定年過ぎたら政府に頼る、というプランじゃないか。昔はこれが機能したのかもしれないが、社会はもう変わっている。

結局のところ、自分の人生の責任は自分で取らなければいけない。何かに頼って生きるプランにすると、それがうまく機能しなくなった時、誰が責任を取ってくれるのか?誰も取らない。そして、何かに頼る代償だけは支払わされることになる。金銭的な面だけじゃなく、自由を代償に支払うことになる。

それが嫌なら、自立するしかない。そのために大切なことは、自分の資産を築いておくことだ。いくつになっても、どんな状況になっても、自分と自分の家族くらいは守れるように。自分以外のものに依存せずに、自分の能力で自立すること。

自立できたら、自分の能力を活かして人の役に立つことをしよう…

そして、ここからが大切だが、自分の面倒が自分で見られるようになったら、他の人の面倒も見てあげることだ。まずは、家族や身近な人。それから、自分以外の他人に貢献できるように考えよう。

それはお客さんであったり、困っている人であったり、社会であったりする。自分の能力が不十分なのに他人に貢献することを考えても、あまり意味がない。それどころか迷惑なケースもある。だが、あなたの能力が高まれば、より多くの人に貢献することができる。「自分の能力を高めて、それを活かして人の役に立つ」これが最高の人生だ。

どれだけ金があっても、成長を感じられなかったり他者への貢献の実感が得られなかったら、人生は豊かにならないし、幸せにもならない。自分を磨き、それをもって人に貢献することは、ものすごい労力であるような気がするかもしれないが、それによって本当に幸せになれるのは自分自身だ。

すなわち、学校を卒業したら、学習は終わりではない。職業人としてのあなたのキャリア、あなたの学習はここから始まる。そして、その学びは一生、終わらない。


さて、長い間、付き合ってくれてありがとう。少しは、あなたの仕事選びやキャリア形成の役にたつ話ができただろうか?最後に、2つある。

  1. 一つは今まで読んだカルチャーブック・デジタル版のレビューをもらえないだろうか?こちらから投稿できるので。
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