Column ダイレクト出版採用コラム

将来不安の正体と…

小川忠洋

以前の話で、何でこんなに頑張って就活してるのに
こんなにも失敗率が高いのか?という話をした。

それは、大学を出たばかりで
自分の強みや適性を知らず、社会の仕事を知らず
両方知らないままで、一発で決めるのが良くない
という話だった。

普通、分からない事だらけの状態だったら
一発で決めないで、少しずつ試してみて、様子をうかがい、
試した結果から、学習して次はよりよい選択をする…
という方法を取るはずだ。「実験的アプローチ」とでも言おうか。
逆に普通の就活は「ギャンブル的アプローチ」かもしれない。。。

いずれにせよ、自分のこれからのキャリアを考えるってのは、
自分と社会との「フィット」するポイント(仕事)を見つける
ってことに他ならない。

※フィット:Fit、適合する、合う、調和する、適している

なので、両方の情報が増えれば増えるほど
理屈的には良い「フィット」が見つかるはずだ。

そして昨日、送ったメールで紹介した本を読んだり
テストを受けたりしてみれば、少しは自分の特性や強みに
気がつくことができるはずだ…
(とはいえ、実際の経験に勝るものはないが)

あとは、あなた自身が常々、自分の強みは何か?
何をやれば自分は他の人よりも上手くできるのか?
そして、何をやっていれば自分は仕事を楽しめるか?
楽しいと感じることができるか?

という事を忘れない事だと思う。
ほとんどの人は、どこかの会社に内定が決まって、
そこに入った瞬間に、安心してこういう事を忘れてしまう

でも、忘れてはいけないのは、
会社に入るのは、あなたのキャリアのスタートであってゴールではない。

マラソンを思い浮かべてみてほしい。
スタートした時点で安心する人なんているか?
なのでスタートした時点で安心したら、ゴール地点では必ず後悔することになる。
逆にいえば、マラソン同様、スタートに失敗しても後々いくらでも取り戻しがきく。

そして会社に入って安心してしまうってのは、「会社依存」の始まりだ。
なぜ、安心できるかというと、自分が人生を会社任せにしたからだ。

「依存」は楽だ。
自分の将来のことを思って不安でたまらなくなることもない。
周りには同じようなやつらがいるので自分が勝っても負けてもない状態に感じる。

就活中、あなたは、本当にいろんな不安を抱えていると思う。
全部、落ちたらどうしよう…おれだけ、私だけ残ったら…
入ったところがブラックだったら…おれの、私の将来どうなるんだろう?
etc etc

こういった不安を抱えるってことは、ある意味、良いことでもある。
なぜなら、それは、あなたが何者にも「依存」していない証拠だからだ。
何者にも依存せず、自分の頭だけ、自分自身の力だけで何とか
切り開こうと思ってるからこそ、、、失敗のリスクも見えて不安になるのである。

これが依存していたら、不安になんかならない。
「オヤジのコネがあって、おれは100%大丈夫なんすよ」
なんて思っている奴は、不安になんかならない。
一方でオヤジに依存して自分の人生を自由に決めることはできない。

だからこそ、不安を持つのは決して悪いことではない。

何かで聞いたことがあるが、悪い不安というのは、
95%くらいが実際には起きないらしい。
なので、あまりに強く悩みすぎることもない。

そしてなぜ「不安」を感じるかというと、
知らない事、未知の領域にチャレンジしているからだ。
暗闇を歩くような感じだから不安になるわけだ。

例えば、試験などを受けて、合格発表の前の時点では
合格か不合格か分からないので不安になるが、
結果がわかれば、未知のことはないので、
不合格だったとしても、不安になることはない。

なので「将来のこと」は分からない事だらけで、
未知の領域なので、不安が募る。

これがどこかの会社に入ってそこに依存すれば、
あなたの「将来のこと」は会社が考えてくれる
(という様にあなたが勝手に解釈する)
なので、あなたは自分の将来のことを考えなくなる。

自分の将来は隣にいる先輩と同じだろうと思うようになる。

しかし、経営者として言わせてもらえば、
その「不安」は会社の経営者だって持っている。
忘れてはいけないが、会社の平均寿命は、人間よりはるかに短く
実際、30年ほどだと言われる。なので、あなたよりも先に死ぬ可能性が高い。

だからこそ、世の中の経営者は、
いかに会社を生き延びさせ、そして繁栄させるか?
という事を常々考えているわけだが、

これって、あなた個人が将来のことを考えるのと、
とても似ているんじゃないだろうか?

あなただって、自分の将来、
それなりに普通レベルの暮らしができて(生き延びて)
できれば、良い暮らしがしたい、成功したい(繁栄させる)
と考えていると思う

つまりは、会社に依存するってのは、
自分が不安だから、その不安を会社に押し付けたに過ぎない。
もっと明確に言えば、会社のリーダー(それは主には経営者、
そしてその会社の主力のメンバーたち)に押し付けたに過ぎない。
しかし現実には「将来に対する不安」は消えることはない。
それが、どこかにフッと消えてしまうような事は、ない。
ただ単に、それを見ようとしなくなっただけだ。

あなたの目の前から消えたように見えても、
それは誰かが持っているという事にすぎない。

■世の中には、不安を直視してその対策を打つ人と

■不安をなかった事にして、見ようとしない人がいる

どちらが自分の人生を自由に設計できるだろうか?
もちろん、不安を直視して対策を打つ人だ。
誰だって人間なんだから、不安を感じる。
不安を感じるのは自分の人生に「責任」を負ってるからで、
それは依存の逆で他人に頼らず「自立」しているとも言える。
そして「責任」は「自由」の対価だ。
「不安」を恐れる必要はない。(とは言っても難しいけど)
このように「不安」にはポジティブな面もある。

不安を感じるのは、自立してる証拠、
そして何より、人間、不安を感じる時が最も成長するのだ。

■不安があなたを成長させる

先ほども言った通り、不安を感じるのは、
未知の領域、知らないことが多いことにチャレンジしてるから
足を踏み入れているから。

だからこそ、そんな時が一番、あなたを成長させる。

これは、あなたが社会に出てからの話だけど、
まず1年目は仕事の「し」の字もわからないような状態。
なので、不安だらけだ。

しかし、2年もすれば自分の仕事は完璧に分かり、
何も見なくても全て完璧にこなせるようになる。
会社に行く通勤ルートも、目をつぶってもいけるくらいになる。
不安は、ほとんどなくなる。

でも考えてみよう。
どちらの時期の方があなたの能力は成長しているだろうか?

もちろん前者だろう。
1年目、何もわからない状態から、急速なスピードで
さまざまな知識を得て、技術を習得して行く、
その時期の方が圧倒的に成長している。

仕事が慣れてくると、ほとんどやったことのある仕事ばかり。
なので、新しく得る知識も技術もほとんどない。
不安も感じないが、成長も全くしていない。

これは社会に出てからずっとそうだ。
あなたの人生で、ずっと使える考え方だと思う。
実際、ぼく自身、会社経営を10年以上もやってきて
わかることは、自分自身でも、
不安を感じる、緊張する仕事ってのは、未だにある。
しかし、それをやっている時は、急速に学習成長していると感じる。

一方で40歳にもなると、たいていの仕事は経験してるので、
なんの緊張も不安も感じない仕事もたくさんある。
そう言った仕事をしている時は、自分自身が全く成長できてないのがわかる。

だからこそ、ぼくは上司として、部下を見る時に、
優秀な部下が、「緊張する」経験をたくさん作ってあげたいと思っている。
逆に「緊張する」経験が少なくなった人間は、どれだけポテンシャルが高くても
成長が止まってしまう。
能力を伸ばすには、
不安や緊張が必要なのだ。

筋肉と同じで精神も負荷がないと成長しない
まとめると、あなたが今、
将来に関して不安を感じたり、、
面接などで緊張したりしてる経験、、

そう言った経験は、あなたの内面を
急成長させているという面もある。

なので、不安で緊張するからって
自分のことを情けなく思う必要はない。

むしろ、自分は未知の領域にチャレンジしていると、
めっちゃ成長してるんだと、小さな自信を持つくらいでいい。

そう考えると、今感じている不安も
決して100%悪いもんでもないだろう…

次は、社会の仕事について、
あなたは仕事に何を求めるべきなのか?
という事について話していきたいと思う…

また明日

ーおがわ

PS:
こういう側面もある。不安や緊張ってのは、実は生活の刺激になる。だからこそ、ぼくらはみんなそれを欲しがっている。時には金を払ってもそれを欲しがる。「そんなバカな」と思うなら、USJとかでジェットコースターに乗る人間の心理を考えてみてほしい。彼ら彼女らは、お金を払って不安や緊張を買っている。

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